ハッピーエンドにさよならを

漫画、小説、音楽、サウナの雑記

汚れちまった悲しみに捧ぐ鮎川温泉金井の湯

関越道でラジオから流れてきた平井堅のPOP STARを聴きながら熱唱していたらいつの間にか真後ろに黒いクラウンが赤い回転灯を回しながら付いてきてた。

23kmスピードオーバーの15000円

一曲のカラオケ代としては高過ぎるけどしょうがない。

 

前橋で仕事を終えたあと、前々から行きたいと思ってた温浴施設に向かった。

 

藤岡インターで下道に降りてしばらくすると、圧倒的な闇に包まれる。

自分が乗ってる車の音と光以外は死んでしまったかのように沈黙し、低い光源しかない。

 

f:id:emopoi0218:20200118012210j:image

 

本当に道が合ってるのか怯えながらも到着。

鮎川温泉 金井の湯

さっきまで1台も車とすれ違わなかったのに、駐車場は結構埋まってる。

申し訳程度のイルミネーションもここでは眩く、強く光り輝いてるように見える。

 

f:id:emopoi0218:20200118012536j:image

 

玄関に入って靴を脱いだ瞬間

「あぁ…ここは良い施設なんだろうなぁ」

と思った。

 

下駄箱エリアのタイルに床暖房が入っててあったかい。

こういう気遣いが途轍も無く嬉しいし、安心させてくれる。

 

受付で750円+バスタオルと小タオルの100円を支払い、着替えて浴室へ。

浴室は天井が高くかなり開放感がある。

そして湯船付近の床は汚いというより、お湯の濃度にやられてる感がある。

これは期待出来る。

 

体を洗ってまずは源泉と書かれた狭い湯船へ。

入った瞬間にしきじの水風呂だろうが泥水だろうが気持ち良いって感じちゃうバカ肌の俺でも分かった。

お湯のとろみが凄い…!

肌に纏わりつくぐらいのトロトロした濃度の高い温泉だ…!

もう一瞬で大好きになって思わず笑顔になる。

 

次に露天風呂へ。

ライトアップされた鮎川を見ながら入れる。

打たせ湯近くが浅くなっており、そこで浴槽の縁に首を預けて寝湯みたいにすると堪らなく安らぐ。

これだけで本当に来て良かったと思った。

 

このままじゃいつまで経ってもサウナに辿り着け無さそうなので、頑張って風呂から出てサ室へ。

 

温度計は90度程だけど体感は明らかにそれ以上高く、カラカラハードコアストロング系のサウナ。

予想通り5分ほどすると細かい汗が大量に出てくる。

 

周りは地元の人しかおらずみんな静かにテレビを見ながらサウナしてる。

人がいるのにこんな静かなサウナも久々かもね。

 

気持ち良く10分サウナに入ってサ室すぐ横の水風呂へ。

しきじみたい上から滝が流れてる(落ちてる)天然水の水風呂。

掛け湯して浸かると…

はぁ…溜息しか出ない…

しっかりキンキンに冷えた水風呂は他の浴槽とは違いキレが凄い。

境南浴場を思い出した。

 

浸かろうと思えばずっと浸かれそうだけど、そうはいかないので頑張って水風呂から出て、露天スペースの椅子で休憩。

 

椅子に座り、東京近郊よりも明らかに冷たい空気に包まれながら鮎川を眺める。

 

自然とはありのまま、そこに存在している。

その雄大さは美しく、心に何かを残してくれる気がする。

だけども、ただそこにあるだけの自然を美しいと思う事自体が俺たちが歪んでいる立派な証拠だろう。

ただの自然を美しいと思うほどに俺は社会に犯されてる。悲しんでる。

それも自覚したうえで、この景色を網膜に焼き付けたいと思うほど素敵な景色、時間だった。

 

f:id:emopoi0218:20200118015341j:image

 

その後も2セットサウナ→水風呂→露天で休憩を繰り返す。

 

いつか秋の昼頃にもう一度ここへ来たい。

きっと更に綺麗な景色になるんだろう。

それに真冬の夜は、ここの景色をゆっくりと眺めるには寒過ぎる。

 

サウナ後はそそくさと着替えて、車に乗って暗闇を再び突き進む。

街の光が見えた時、あの鮎川の景色から1番遠い場所に帰ってきてしまったんだなと、ひどく虚しくなった。

 

f:id:emopoi0218:20200118020218j:image

 

 

 

つづく