ハッピーエンドにさよならを

漫画、小説、音楽、サウナの雑記

声殺して、目を塞いで、闇に溺れて彷徨って

人生の巡り合わせとは不思議なもので、思わぬタイミングで自分がこれまでの人生で紡いで来た縁がふとした時に繋がるときがある

 

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僕は前職、用地仕入という仕事をしていた

建築・不動産に関係無い仕事の人からしてみれば良く分からないかもしれないけど、建売会社が家を建てたり、ディベロッパーがマンション建てるための事業用地を調達する仕事

”売る”営業では無く、”買う”営業

新卒で入社した前職、最初は企画営業という形で仕入れた用地にどのよう住宅を建てるか企画し、その販売をしていた(直接売るのではなく不動産の仲介会社を通して)

 

仕入担当が調達してきた用地に、僕が企画を考え、設計がプランを入れ、施工が工事を管理し、僕がそれを販売する

 

つまり用地仕入とは事業の入り口を担う非常に重要なポジションで、所謂花形で、買えば買うほどボーナスのインセンティブも100万円を余裕で超えるような仕事だった

ただしその分社内での詰めも激しく、ひと月タコ(未契約)になると月1回ある全社の営業会議で立たされ(時には最初から椅子に座れない)、反省の弁を述べさせられ、本部長や社長に罵倒される

 

それでも用地仕入になりたいなと2年目から考えてた

少なくとも僕の近くにいた仕入れの人たちは人間的な魅力に溢れた人達ばかりで、憧れてたから

ただあらゆる面で高いレベルを求められる用地仕入には簡単にはなれない

早くてもあと3~4年…でも早く仕入れになりたい…

とりあえず企画営業で結果を残して、発言力を持とうと思った

プロセスは省くけど結果として翌年僕は年間の販売棟数で全社3位になった

一部上場企業で、営業が70~80人いるという規模を考えれば上々の結果だった

地域的な不利もあり、今まで誰も営業で表彰されなかった店舗で、初めての表彰者

選ばれたことも嬉しかったけど、周りの先輩や後輩、営業以外にも設計や工事、みんながすごい喜んでくれたのが何よりも嬉しかったのを覚えてる

 

他の表彰者はみんな年次が高く、僕が一番若手だった

やっぱりそれはそれなりにインパクトがあったらしく、翌年本社に異動し、1年間企画営業をやり、次の年に用地仕入になった

 

用地仕入になるにあたり、最初の店舗で仲が良かった用地仕入の先輩に無理をお願いして、用地仕入のイロハをレクチャーしてもらってた

定時よりも1時間早く会社に来てもらい教わるのを週2日

 

その甲斐もあってか用地仕入になってから退職するまで、僕はタコらなかった

 

今まで会社でもほとんど手を付けてなかった城南と言われる東京でも高級住宅街がひしめくエリアを任され、朝から夕方まで不動産屋に飛び込んで案件収集

会社に戻り案件検討、企画、収支作り、返答

その繰り返し

近隣クレームで長時間拘束されたり、契約放棄、古屋残置物のトラブル…

本部長に「ぶっ〇すぞてめぇ!!!」と怒鳴られ、書類を叩きつけられたりと色々あったけど、それなりに結果は出したので、嫌じゃなかった(本部長のことを除く)

 

ただ最後は会社を辞め、まったく分野の違う今の会社に転職した

インセンティブの支給体系が変わり稼ぎ辛くなったのと、それに伴い会社の営業の仕組みも変わり自分の成果が正当に評価されると言い難い仕組みになったから

深夜2時に一人でオフィスにいて「…もう無理だな」と思い転職をした

 

そして今に至る

 

つい最近、僕に仕入れのイロハを教えてくれた先輩から連絡があった

先輩は3年前に仕入前人未到のバケモンみたいな棟数をやり会社を辞め独立しており、過去に先輩の事務所に遊びにいったり、一緒に飲みに行ったりして細々と付き合いはあり、独立当初「こめと仕事したいんだけど、うちに入らない?」と誘ってくれていた

先輩とは一緒にいて楽しいし、何より人柄が好きだった

 

前職時、一度僕の不注意で財布を紛失したことがある

現金もキャッシュカードも無い

親に事情を話し、いい年した大人だけど少しだけお金を借りた

そのことを会社で話すと、人気のないところへ先輩に呼ばれ「営業だし、何かと必要だろ?返さなくても良いから」と5万円を渡された

マジで格好良すぎて、こんな男になりたいと強く思った

いまだになれて無いけど…

 

年末にその先輩と久々に会うことになった

巡り合わせってあるんだなぁ

 

自分自身に向き合う

それはひどく苦しく、辛いことだけど

その先に何かがある気がする

感傷に浸っているわけじゃなく、事実と未来を見定めろ

俺の人生なら全て自分で背負う