退廃的官能エレジー
深々と雪が降る
音は全て雪に吸収されて、絶対的な無音が耳をつん裂く
沈黙こそがもっとも雄弁に時間を物語る
もっと降り積もれば白が黒さえも塗り潰す
そして春が来れば、足元に死体が埋まった鮮血の桜が世界を謳歌するかの如く咲き誇る
ただもうそこには大嫌いな貴方達は居ない
雪のように白い肌で背中を合わせた貴方はもう居ない
弾けもしないアコースティックギターを弾きながら、白い息を吐きながらこの沈黙を歌い上げたい
狂人のように爪が剥がれる程ギターを鳴らし、血反吐を吐くほどこの沈黙を叫びたい
指先から滴る血は、その柔肌の上で春を描き彩る
花に水を与えず、枯れゆくその刹那に自身の美学をカテゴライズしていく
ライフルのマズルは貴方を捉えたまま死を語る
歪んだまま自意識は不明へ
孤独な景色の中、大嫌いな貴方が大嫌いな貴方達と讃美歌を歌い、ワルツを踊り、笑ってる
気がつくと深雪の中、春の如く雪は紅をまとう
エレジーはまだ鳴り止まない
エレジーはまだ響いてる
残雪、溶けず