あなたは私が生きる事を許してくれますか?
流れる日々の中で清流に落ちてきた枯葉のように、ゆらゆらと流れに抗う事も出来ずに流され、落ちていく
平日を締め括る金曜日にもなれば、それこそ歩く事すら煩わしいぐらいに疲弊しきってるし、朝起きた時点でもう疲労感と絶望感に苛まれるところから始まる
眠い目を擦りながら朝陽が眩しい中、移動途中のパーキングエリアでWeb会議に参加する
会議において距離という概念がコロナにより破壊された故、参加へのハードルが地まで落ちたためありとあらゆる会議が日夜舞い込んでくる
高速道路を120kmで走り、瀬戸大橋で風速11mの風に吹かれながら、耳に挿したBluetoothイヤホンで電話をする
そしてパーキングで携帯をテザリングしてパソコンから資料をお客さんに送る
自由や利便性を目指した人類のテクノロジーの進化は、俺に不自由と不便性をもたらした
自由という不自由の中ですら自由を感じる事の出来ない不均衡な人間
高さのある視座を持つふりをして、ハリボテの中で震えてるような人間
頭の片隅にある消しゴムが少しずつ大きくなり、自分の事さえ自失しつつある人間
社会の生き辛さを、社会に転嫁して少しでも安息や逃げ場を得ようとする人間
あなたはそんな私が生きる事を赦してくれますか?