空谷の跫音
飽きもせず、鉄の塊に乗って今日も無酸素無呼吸無感情の世界を漂った
携帯の電波も届かない、煩わしい重力も少ない、ここには誰も僕を知る人は居ない
たかだか1時間半の逃避
それでもこの時間だけは誰にも邪魔されない
1人だ、独りだ、ヒトリだ、それも極上の
乱気流で揺れると、肉体と魂が分離したような感覚に襲われる
身体の衝撃と精神の重力の不一致
もしかしたらあと1回、大きな揺れが来たら僕の21gの魂は口から抜け出て、雲海の上をふわふわと彷徨うかもしれない
この魂が繋がる根源がそこにあるならそれが摂理だろう
それでも着陸時の鈍い衝撃とともに僕の心も体も、それまで以上に感じるような引力で現実へ戻される
何者にもなれない僕達は、誰かの何者かになれた誰かを羨み、妬んで、僻んで、足を引っ張る
足は下の立場からしか引っ張れない
行動が各人の立場を定義する
言動が各人の知性を表現する
教養が各人の品位を象徴する
ノブレスオブルージュ
パンが無ければお菓子を食べれば良いというのは傲慢ではなく想像力の欠如
日本のサウナは本当のサウナじゃないというのも想像力の欠如
そして想像力の欠如は最大の罪とも言える
被害者は加害者であり、加害者は被害者でもある
視点の向きの違いしかそこには無い
朝の6時に客先に行って、8時過ぎに出て、飛行機までの数時間、流石に仮眠をしたく道中にあるクレスト松戸に行った
初めての施設はサウナ室に入る瞬間が最高にワクワクする
普通に過ごしやすいサウナ室にだけど、ウォーターセレモニー時は灼熱と言わざるおえない熱さ
久々に足の指までピリピリきた
そしてリクライニングで2時間寝て空港へ
また今度ゆっくり
僕達は背負った罪で道を決めるのではなく、選んだ道で罪を背負うべきだ
そして生きることは罰となる
だからこそ僕は生きる