シソンヌのコント「別れ」について
最近TVでもちょくちょく出てくるお笑い芸人 ”シソンヌ”
Youtubeでシソンヌを検索すると公式チャンネルが過去のライブ映像(コント)を数多く上げていて、かなり個性的なコントを多く見ることが出来る
舞台装置を思う存分駆使して謎のシチュエーションで突っ走る「ばばあの罠」
交通違反をテーマにし、屁理屈に屁理屈を重ねて展開していく「あおり○○」
日常に非日常を混ぜて最後に急展開を迎える「サ裸リーマン」
などなど…
ただ俺がシソンヌのコントで1番好きなのはぶっちぎりで「別れ」である
設定は葬式会場で妹のカスミをなくしたサトシ(じろう)、そこにカスミの訃報を受け早くに両親を亡くした2人を昔から面倒見ていた従兄弟のタッちゃん(長谷川)が来る。妹を亡くしながらも喪主として気丈に振る舞うサトシを気遣うタッちゃん、そして喪主の挨拶が始まるが…
コントでありながらも派手なセットも舞台装置も無く、舞台にはスタンドマイクが1本あるのみで、シソンヌの2人も葬式という舞台設定もあり黒い礼服、と地味な装い
なるべく内容に触れないように書くけどこのコントの肝は、終盤のコントでありながら漫才という形式をとるところだと思う
途中から喪主の挨拶にタッちゃんも加わり、センターマイクを前に2人で進行していく様は挨拶という体を取りながらもまさしく漫才のそれで、コントの最後の閉めも「もういいわ、ありがとうございました」とタッちゃんが泣きながらサトシと頭を下げて終わる。
コントの中で”葬式の挨拶”というシチュエーションを上手く使いスムーズに漫才に移行していくのはシソンヌのレベルの高さが伺える。
そして葬式という暗く、笑えなくなってしまいそうな設定を見事に笑えるようにしているのは3つの要素があると考えられる
1)サトシがこのような挨拶をしているのには理由があり、それが見る側に伝わる
途中で
「まともでいられる方がおかしいよ…」
「お前まさか…」
というやり取りが入り、ここで何故サトシがこのような行動を取るのかが明確に分かるようになっており、そこからはこれまでのサトシとここからのサトシの言動が180度変わって見えるようになる
2)シソンヌ2人の演技力の高さ
コントは漫才と違い、演者がその役になりきることから自ずと演技力によりコントの完成度は大きく変わる。俺が言うまでも無くシソンヌの2人の演技力は非常に高く、芸人でありながらTVドラマや映画にも出演している
この2人の演技力の高さが葬式という設定にリアリティを持たせると同時に、1)の内容とのギャップを大きくしており、その反動で笑いに繋がる
3)架空の設定でありながら感じるサトシからカスミへの愛情、そしてタッちゃんの2人への愛情
これも演技力だけでなくギャップを生む要因になってるけど、サトシの喪主としての挨拶にはフィクションといえど小ボケを挟みながらも妹のカスミへの愛情にあふれており、それが1)の理由にもなっている
ツッコミ役のタッちゃんもボケへのツッコミというより、サトシを心配するあまりのツッコミであり、葬式という設定にリアリティを持たせながらお笑いとしてもしっかり成立させている
ネタの構成力の高さももちろんだけど、2)で挙げた2人の演技力の高さがあるから成しえる技なのかもしれない
俺はこのコントが本当に大好きで、3日に1回ぐらい見てる
最後のサトシの挨拶を閉める言葉もめちゃくちゃ面白くて、大好きで、ぶっちゃけ今年のサウナイキタイのアドベントカレンダーの閉めでパクらせてもらいました
本当に最高なコントだから時間ある人はぜひとも見て欲しいですね
もちろん他のコントも面白いのがそろってるで是非見て欲しいです