ハッピーエンドにさよならを

漫画、小説、音楽、サウナの雑記

俺が知る全ては何も知らざることなり

大学2年の時に初めて海外に行った。

大学のワークショップで参加すると2単位貰えた。

当時バンドとバイトと遊びに明け暮れてた俺は

「安い金で海外に行けて、単位も貰えるなんてお得じゃん!」

とあらゆるものを履き違えて、パスポートを取ってワークショップに参加し、フィリピンのセブ島へ向かった。

 

ワークショップの内容ははセブ市にあるスラム(厳密に言うとスクオッター)での現地調査でもう記憶はぼんやりしてるが、俺はスラム内の小規模ビジネスの調査をしたような記憶が…

 

初めての海外、浮足だって夜は他のワークショップ参加者達と宴会や夜遊び!

というのは無く、朝から昼までフィリピン大学のセブ校で講座、そこからスラムに行きくそ暑い中ひたすら歩き回って調べて、下手くそな英語で話して、写真取っての繰り返し。

ハードだった。

 

スラム街は生活排水の異臭や野良犬がいたり、独特な雰囲気があって、初めて海外という慣れない環境もあり、いるだけで体力を消耗した。

 

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唯一の休みは1泊2日でフィリピン大学の学生とボホール島へ遊びに行き海を満喫した。

日本に帰国してから一緒の部屋に泊まった2人の現地学生のうち1人はゲイ、1人はバイという事実を知らされた(良い奴らだよ)。

 

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そして最終日のプレゼンに向けて再び調査。

 

スラムを歩いてると東南アジア特有のスコールが降ってきた。

傘は持ってないし、有っても雨が強過ぎて最終的には濡れちゃう。

だから住宅の軒下に避難してスコールが止むのを待ってた。

そして俺は自分史上最大のカルチャーショックを受けた。

 

俺らは大雨で雨に濡れないように建物に避難したけど、住民の人たちは逆にシャンプーを片手に出てきてその雨で髪や体を洗い始めた。

 

まだ二十歳にも満たない俺にとって、その光景はとんでもない衝撃だったし、理解するまでに時間がかかった。

 

国が違う、文化が違う、生活水準が違う

 

俺は何も知らなかった。

 

スラムの真横には高級ホテルが建ってる

そこにはキンキンの冷房もあるし、綺麗な水洗トイレ、蛇口をひねればシャワーも出てくる

 

でもそれは全部ここに無い

たかだか100mの距離しか離れてないのに、隣の国ぐらいの遠さを感じた

 

知らなかった、知ろうとしてなかった自分が恥ずかしくなったのと同時に、知ることの楽しさを少しだけでも知れた。

無知の知とまでは言わないけど、何かが自分の中で変わった瞬間だった。

 

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(何故か写真があったプレゼン資料の一部)

 

そしてほぼ徹夜でプレゼン資料を仕上げて、発表してその日の夜だけは寝不足だけと現地の学生達とクラブに行って遊んだ。

みんな日本人に寛容で知らない現地の人達もすごい歓迎してくれて楽しかった。

 

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そしてfarewell partyも無事に終わり、2週間の海外研修は終了した。

その時の世話してくれた現地の学生とは今でも時々連絡を取り、日本に来た時はメシや飲みに行ってる。

 

物事を知る、考えることの楽しさを知り、帰国後はバンド、バイト、遊びに更に研究が加わって忙しくなった。

翌年より研究フィールドをタイに移して、結果的に俺は大学院の修士課程まで進学することになる。

その話はまた今度。

 

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あの日フィリピンのスラムでみた頑張り屋なあの娘もきっと素敵な大人になってる。

その彼女が笑って子供たちと過ごせるような日常を過ごせてればと願う。

 

つづく